離婚の話し合いが進まない、相手方に弁護士がついた——そう聞くだけで費用への不安が頭をよぎります。弁護士に依頼した場合の総額は40〜120万円が目安ですが、協議だけで終わるか裁判まで進むかで金額は大きく異なります。
費用の内訳・支払えない場合の対処法・無料相談の賢い使い方を、法的根拠に沿って整理しました。
離婚弁護士に依頼したときの費用の内訳
弁護士に離婚を依頼すると、どんな費用がどのくらいかかるのか、まったく想像がつかなくて…
弁護士費用は大きく「着手金」「報酬金(成功報酬)」「実費・日当」の3つに分かれます。着手金は依頼時に20〜50万円、報酬金は解決後に10〜30万円前後が相場です。総額では40〜120万円が目安になります。
| 費用の種類 | 支払タイミング | 相場 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 着手金 | 依頼時(前払い) | 20〜50万円 | 案件の難易度・離婚理由によって変動する |
| 報酬金(成功報酬) | 解決後(後払い) | 10〜30万円 | 慰謝料・財産分与の取得額に連動することが多い |
| 相談料 | 相談時 | 無料〜1万円/時間 | 初回30〜60分無料の事務所が多い |
| 日当 | 出廷・出張時 | 3〜5万円/日 | 調停・裁判で裁判所へ赴く場合に発生する |
| 実費 | 随時 | 数万円〜 | 収入印紙・交通費・コピー代など |
※ 2006年の弁護士報酬規程廃止後は各事務所が独自に設定するため、実際の金額は事務所・案件の複雑さにより異なります(日本弁護士連合会「弁護士費用について」参照)。
着手金|依頼時に支払う費用の相場
着手金は依頼時に支払う費用で、20〜50万円が相場です。協議のみなら20〜30万円台、調停・裁判まで依頼すれば40〜50万円以上になるケースもあります。原則として返金されないため、契約前に支払い条件を書面で確認しておきましょう。
報酬金(成功報酬)|解決後に支払う費用
報酬金は離婚が成立した後に支払う成功報酬で、10〜30万円が目安です。慰謝料や財産分与を請求している場合、取得額の10〜20%程度が加算されることもあります。離婚慰謝料の相場と報酬金の計算をセットで把握しておくと、費用の全体像が見えやすくなります。
相談料・日当・実費とは
相談料は初回無料の事務所が多く、2回目以降は1時間1万円程度です。日当は裁判所出廷時に1日3〜5万円、実費は収入印紙・交通費などで数万円〜が目安です。案件の進み方によっては合計10万円近くになることもあります。
離婚の進め方別|弁護士費用の相場比較


協議、調停、裁判って何が違うんでしょうか?弁護士費用も変わりますか?
協議は夫婦間で話し合う方法で費用が最も安く、相場は20〜50万円ほどです。話し合いがまとまらなければ家庭裁判所に申し立てる調停(30〜70万円)、それでも解決しなければ裁判(60〜120万円)へ進みます。できる限り協議で解決するのがコスト面で有利です。
| 離婚方法 | 費用の相場 | 解決期間の目安 | 弁護士の主な役割 |
|---|---|---|---|
| 協議離婚 | 20〜50万円 | 1〜3ヶ月 | 条件交渉・離婚協議書の作成 |
| 調停離婚 | 30〜70万円 | 3ヶ月〜1年 | 調停申立・調停期日への同席 |
| 裁判離婚 | 60〜120万円 | 1〜3年 | 訴状作成・証拠収集・口頭弁論 |
| 弁護士なし | 0円 | ケースによる | (交渉力の差が出やすく条件で不利になりやすい) |
※ 解決期間は最高裁判所「司法統計年報(令和5年度)」をもとにした目安です。案件の複雑さにより大きく異なります。
協議離婚(相場:20〜50万円)
夫婦間の話し合いで条件が折り合う場合は協議離婚となり、弁護士費用は最も抑えられます。弁護士を代理人として交渉を任せる場合でも30万円台で収まるケースが多く、費用対効果の高い選択肢です。離婚手続きの流れを事前に把握しておくと、どの段階で弁護士が必要かの判断がしやすくなります。
調停離婚(相場:30〜70万円)
協議でまとまらない場合は家庭裁判所への調停申立に進みます。着手金に加えて日当が加わり、合計30〜70万円が目安です。解決まで半年〜1年かかることが多く、その分費用も増えます。
裁判離婚(相場:60〜120万円)
調停でも解決しない場合は離婚訴訟に移行します。訴状作成・口頭弁論への同席などが加わり、費用は最大120万円以上になることもあります。審理は1〜3年に及ぶことも多く、期間・費用ともに最も膨らむ段階です。
弁護士費用が払えないときの対処法
弁護士費用が用意できそうにありません。それでも離婚弁護士を使えますか?
収入・資産が一定以下であれば「法テラス」の法律扶助制度が使えます。弁護士費用を立て替えてもらい、月5,000〜10,000円程度の分割払いで返済する仕組みです。事前に法テラスの審査が必要ですが、離婚案件でも広く利用できます。
| 要件項目 | 具体的な基準 | 補足・注意点 |
|---|---|---|
| 収入要件 | 月収(手取り)が基準額以下 | 単身:約182,000円以下、2人世帯:約251,000円以下(2026年現在) |
| 資産要件 | 預貯金・資産が一定額以下 | 単身:約180万円以下(住宅ローン等は一定考慮あり) |
| 勝訴見込み | 民事案件として見込みがある | 離婚案件は多くの場合認められる |
| 返済意思 | 分割返済が可能である | 月5,000〜10,000円程度の返済計画が必要 |
※ 収入・資産の基準は法テラス公式サイト「審査基準(収入・資産)」をもとに記載しています。詳細は最寄りの法テラスまたは公式サイトをご確認ください。
法テラス(法律扶助)を活用する
法テラスは国が設立した法的支援機関で、収入・資産が基準以下であれば弁護士費用の立替援助を受けられます。審査通過後は月5,000〜10,000円の分割払いで返済する仕組みです。生活保護受給者は返済免除のケースもあり、離婚・DV・婚姻費用請求など家事事件に広く対応しています。
分割払い・後払いに対応した事務所を選ぶ
法テラスの収入基準を超える場合でも、分割払いや後払い(報酬金のみ後払い)に対応した事務所が増えています。複数の事務所に費用の支払い方法を尋ねてみると、自分の状況に合った選択肢が見つかることがあります。着手金の減額交渉に応じる事務所もあるため、無料相談で率直に相談してみましょう。
弁護士費用を相手方に請求できるケース
相手方の不法行為(DV・モラハラ・不貞行為など)が原因の場合、損害賠償の一部として弁護士費用の一定割合を請求できることがあります。認められる金額は慰謝料額の10〜15%が目安です。
無料相談を賢く活用するための3ステップ


無料相談って、本当に無料で大丈夫なのでしょうか?何か仕掛けがあるんじゃないかと心配です…
多くの法律事務所が初回30〜60分の無料相談を提供しており、相談だけで依頼義務は生じません。ただし無料相談では書類作成や裁判所への申し立てはできません。費用の目安を聞いたり、依頼するかどうかの判断材料を集めるための場として活用するのがベストです。
無料相談でできること・できないこと
無料相談でできることは、費用の見積もり確認・依頼の必要性の確認・方針の方向性の把握です。書類作成・裁判所への申立・交渉の代理は依頼契約後でないと対応できません。「まず話を聞きに行く」というスタンスで予約を取り、疑問を事前に書き出しておくと時間を有効に使えます。
相談前に用意すべき情報と書類
事前に整理しておきたい情報は4点です。①離婚の経緯・原因(DV・不貞・性格の不一致など)、②婚姻期間・子どもの有無と年齢、③夫婦それぞれの収入・資産の概算、④希望する解決内容(慰謝料・親権・財産分与など)。婚姻証明書・源泉徴収票などの書類があると費用の見積もりが出やすくなります。
複数の弁護士に相談するメリット
同じ事案でも弁護士によって方針・費用の見立ては異なります。2〜3の事務所で無料相談して比較すると、対応の丁寧さ・費用の透明性・専門性の違いが見えてきます。離婚弁護士の選び方では、比較時のチェックポイントを整理しているため、合わせて確認してみてください。
浮気・不倫が原因の離婚|弁護士費用と探偵の役割
夫の浮気が原因で離婚したいのですが、探偵に頼まないといけませんか?弁護士だけで対応できますか?
浮気の証拠は弁護士が収集することはできません。慰謝料請求や有責配偶者への離婚請求では「不貞行為の証拠」が必須です。探偵が取得した証拠は法的効力があり、証拠が固まった状態で弁護士に依頼すると交渉が有利に進み、総費用を抑えられるケースもあります。
有責配偶者への慰謝料請求と弁護士費用の関係
不貞行為を原因とする離婚では、慰謝料は50〜300万円が相場とされています(最高裁判所「司法統計」参照)。証拠が確実であれば交渉が早期にまとまり、裁判に進まずに済むため弁護士費用全体を抑えられます。
探偵で証拠を固めると弁護士費用が下がる理由
不貞の証拠(接触写真・ホテルへの出入り記録など)が揃っていると、弁護士は交渉段階から有利に進められます。証拠が不十分だと調停・裁判まで進むリスクが高く、日当・期日費用が増加します。探偵費用を払っても早期解決できれば、総コストが下がることもあります。
よくある質問
弁護士費用は夫婦どちらが払う?
弁護士費用は原則として依頼した本人が負担します。ただし不貞行為など相手方に不法行為がある場合、損害賠償の一部として弁護士費用を請求できるケースもあります(裁判所の裁量によります)。
費用の見積もりはどうやって取る?
多くの事務所が無料相談の場で費用の概算を提示します。着手金・報酬金・実費の内訳を書面で確認し、不明点は事前に質問しましょう。「総額の目安を教えてください」と直接聞くのが最も確実です。複数の事務所に見積もりを取り、金額と対応の両面で比較するのが賢い選択です。
弁護士に依頼しないと損するケースは?
相手方に弁護士がついている場合・子どもの親権や高額な財産分与が争点になる場合・DVや不貞など証拠が必要な場合は、弁護士なしでは大きく不利になります。交渉力の差が最終的な条件に直結するため、費用を払っても弁護士に依頼した方が有利な結果を得られるケースが少なくありません。
まとめ|費用の全体像を把握して賢く離婚弁護士を使う
離婚弁護士の費用は着手金・報酬金・実費の合計で40〜120万円が目安です。協議で終われば費用は抑えられますが、調停・裁判に進むほど期間と費用は増します。払えない場合は法テラスの活用・分割払い交渉・相手方への費用請求の3つを検討しましょう。
不倫が絡む場合は証拠の有無が費用を大きく左右します。探偵で証拠を固めてから弁護士に依頼するのが、総コストを抑えながら有利に進める方法のひとつです。

